トーレスさんの本「これまでの道、これからの夢」を読み終えました。
こういう自叙伝は、本人(または記者)が書いた原稿を日本語に訳す場合と、
本人が話したことを日本語に書き起こす場合とあると思うんですが、
今回の本はトーレスが大部分の原稿を自分で書いたんじゃないかなぁと想像しています。
しかも、以前自分が話したこと(動画等)を見返して原稿を作ったと思える箇所もあって、
「どんだけトーレスさんマジメやねん!」と思ってしまいました(笑)
もともとトーレスは話すのがとても上手いんですよね。
インタビューでも長々と話す傾向にあるんですが、話しがアッチ行ったりコッチ行ったりせず、
最終結論に向けてきちんと順序立てて話すことができる人で、
一番感心したのは、アトレティコの最後の試合で行なわれた退団セレモニーでのあいさつ。
あれだけの観衆の前で約6分間、原稿もメモも一切見ずに自分が伝えたいことを語りきっています。
ああいうのは誰にでもできることじゃないと思いますね。
それとファンに対しては自分の言葉で正しく伝えたいと強く思っている人なので、
やっぱり本人がある程度原稿を書いたと思います。
訳された日本語の文章はとても分かりやすく、難しい漢字にはルビがふってあります。
おそらく子ども達にもたくさん読んでもらいたいという意図なんでしょうね。
内容は知ってることもあったけど、知らないことも多く記述されていて、
日本人に向けて書かれているので、ヨーロッパと日本のフットボールに対する考え方の違いや、
日本人選手に感じるトーレスから見た違和感などは、この本ならではの内容でした。
トーレスの指摘を受けて思うのは「日本人は常に自信がない」ということでしょうか。
どんなに努力して結果を出していても「自分なんか…」と思い込んでしまう。
それは子どもの頃の教育に関係がある気がしていて、
例えば、子どもに対して大人はマウントを取りたがりますよね。
「褒めたら調子に乗るから」とか「言う事をきかせるために叱る」とか、ひどいときは叩く。
そういう大人の顔色を見ながら育った結果、自信のない人になってしまうんじゃないかなぁ。
自信がないから、いつまでも練習してしまう。
自信がないから、作り笑いをしてしまう。
自信がないから、最後の最後で慌てて失点してしまう。
この本の中でトーレスはこう言っています。
「何事も信じなければやり遂げることはできない。
だから、まずは信じなければいけないんだ」
一番最初に信じなければいけないのは「自分自身」ですよね。
自分を信じていいんだ、それだけの努力をもうすでにしているんだから。
また、こんなことも言っています。
「大きな声で言い合ったらいいじゃないか。
それでなんの問題もない」
波風立てないようにと、思ったことをグッと飲み込む必要はない。
思ったことをすべて吐き出す方が、自分にも他人にも誠実だと、私も思います。
迷惑をかけちゃいけないなんて考えなくていい。
失敗したからって坊主になんかならなくていい。
失敗の先にしか成功はないのです。
大切なことは自分を信じ、仲間を信じ、1つ1つ楽しみながら努力すること。
そういう風に思わせてくれる本でした。